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MICの仕様

MIC (Mars Imaging Camera)は火星探査機衛星「のぞみ」(Planet-B) に搭載されている可視光領域のカメラである。 日本電気株式会社(NEC)が\製造し、Kodakの3色一次元CCDが使用されている。 探査機のスピンを利用して走査することにより二次元の画像が得られ、 カラー撮像が可能である。

MICの大きさはおよそ 92 mm x 150 mm x 235 mm。Figure 1にその概観を表す。 質量は約 2.5 kg、撮像中は 14 W の電力を消費する。 仕様の詳細は Table 1 に示されている。 光学系は 口径が 21.4 mm、焦点距離が 30 mm、 F値が1.4で宇宙空間において放射線があったっても変性しないレンズで 構成されており 3本のCCDに光が届くようになっている。 各CCDには 青(中心波長は 450 nm)、緑(550 nm)、赤(650 nm)のいづれかのフィルターがあり、 各々のフィルターを使用することでカラー画像が得られる。

Table 1
Hardware Specifications
Optics Aperture 21.4 mm
Focal length 30 mm
F number F1.4
CCD linear 3 color CCD (Kodak KLI_4103)
4104 pixels (only 2560 pixels are used)
RED 9V/μJ/cm2 @ 650nm
GREEN 8V/μJ/cm2 @ 550nm
BLUE 4V/μJ/cm2 @ 450nm
Pixel Pitch 12μm
Integration Time 0.512 ms
Total Field
Of View
Azimuth 360 deg
Elevation 54.2 deg
Pixel
Resolution
Azimuth 82.9 arcsec@7.5 rpm
Elevation 82.5 arcsec@ceter of FOV
65.4 arcsec@edge of FOV
A/D Conversion 8 bit, 6 MHz
Image Memory 1 Mbyte
Image
Compression
Module
JPEG revision 5 algorithm
range 3 to 100
speed 3.4 Mpixels/s @ 12 MHz

一本のCCDには 1 x 2560 の素子がある。 個々の素子は幅 12 μm、 分解能は素子が並んでいる方向に 約74"、回転方向に約82.9"である。 「のぞみ」の自転速度は 7.5 RPMで、MICの積分時間は 0.51 msになる。 CCDの視野は素子方向に54.2°、探査機の回転軸に垂直な方向では360°あるが、 実際の大きさはメモリーの容量に制限される。 A/D変換は 6 MHzで行なわれ、搭載されるメモリー (1 Mbyte)に保存される。 画像圧縮にはJPEGの標準的なアルゴリズムが使用され、 12 MHzで 3.4 Mpixels/secの速さで 3から 100倍に圧縮する。

MICには4つの選択可能なgainがあり、 2つは火星表面の明るい部分やPhobos & Deimos 、1つは暗い部分、 もう1つは極冠に対応するようになっている。

ミッション期間中、MICは2つのモード、commandとautoで作動することができる。 commandモードでは搭載しているソフトかあるいは 地球から 撮像開始のコマンドをカメラのハードウェア が受けとり、あらかじめ指定された視野方向、サイズの 画像を撮像する これが標準の作動モードである。 「のぞみ」一回の自転で一画像しか撮れないので、 撮像開始時期は慎重にえらばなければならない。 autoモードは Phobos と Deimosの観測および火星の遠火点付近 からの撮像のために作られた。 このモードではある素子が初期設定よりも明るいものをとらえたとき、 その素子の近傍の512×512 pixelの画像を撮る。

観測対象
観測提案

MIC Homepage
Ai Inada