☆MGF magnetic field measurement
その地点における磁場を測定する。(測定レンジ ±16nT〜±65536nT) 火星の磁場の測定の主な目的を以下にあげる。 ◎火星に固有の磁場があるだろうか? 地球では地球内部のコアのダイナモ運動によって磁場が発生するが、火星にそのような惑星固有 磁場があるかどうかは依然として議論されているところである。 火星に固有の磁場があるどうかを調べるためには低高度でグローバルな磁場の測定が必要である が、最近のアメリカの衛星 Mars Global Surveyer 以前の過去の探査衛星では十分に低い高度で 観測されたデータはない。(Phobos2は850km) Mars Global Surveyer は高度300kmで磁場の測定をしたが、その結果は火星には局所的には強い 磁場が存在するものの、globalな固有な磁場はなさそうだ、というものであった。 しかし、この局所的な磁場の解釈もまだはっきりしておらず、後で触れるが太陽風の圧力と火星 の大気の圧力のバランスを考える上で、火星の固有磁場がないと説明がつかないので、火星に固 有の磁場があるという説は残っている。 今回のPlanet-Bでは、高度150kmまで詳細にグローバルに、磁場の測定を行なうので、火星に固有 の磁場があるかないかがはっきりするだろう。 ◎火星の電離層に流れる電流の構造を明らかにする。 太陽風は火星の電離層と相互作用し、さまざまな物理過程を通してその運動量の一部を電離層に 与え、電離層にグローバルな電流を流す。 電流は磁場を生成するので、MGFの観測により火星の電流系を調べることができる。 ◎火星の昼側における、太陽風と火星大気の圧力バランスについて。 太陽の活動が盛んな時、電離層の粒子の熱運動が活発になり、太陽風の圧力は高度300km程度で電 離層の圧力によって支えられると考えられているが、太陽の活動が活発でない時、(Viking衛星 のデータによれば)電離層の粒子の熱運動による圧力だけでは、太陽風の圧力を支えきれないと されている。したがって、火星の固有の磁場か、あるいは電離層を流れる電流系の作る磁場によ る磁場圧で、これを支えなくてはならない。 このような電離層の昼側における太陽風と火星大気の圧力バランスの問題を解決することが、磁 場測定の大きな目的の一つである。