PLANET-Cニュース 2007

2007年のPLANET-Cです。

2007年10月10日

プロトモデル総合試験の様子(東北大学の山田学氏による)

金星は地球より一つ内側の太陽系惑星で,太陽の西側に位置するときは「明けの明星」,東側では「宵の明星」として見える。およそ9ヶ月ごとに東から西へまたその逆へと移動し,今は明けの明星として輝いている。この明星を目指すPLANET-Cの検討を始めてから7年がたち,打ち上げが2年半後に迫った。

今年8月,とうとう観測装置のプロトモデル(試作機)が相模原に勢ぞろいした。「プロトモデル総合試験」が行われたのである。この試験には,赤外から紫外までの異なる波長(色)で撮影する5台のカメラと,姿勢制御装置,衛星の主制御装置DHU,そしてDEという機器が一堂に会して接続された。

DEとは,観測データと衛星各部の状況を記録する機能や,画像の機上処理・圧縮機能を持つ,カメラ群の統合制御装置である。雲や雷や地面など様々な映像を統合解析するPLANET-Cの,いわば要となる装置である。金星到着後にカメラ群の動作パターンを様々に変えるため,それらをあらかじめDEに記憶させておき,DHUはこれらのうちいずれかの実行をDEに命ずることで「流れるように」カメラを連続動作させる。これがうまくいって初めて,金星大気圏の色々な高度での時間変化を動画として映像化することができる。

これらの機器はそれぞれ別のところで開発されてきたため,あらかじめ接続方法の取り決めをしているとはいえ,実際にうまく信号をやりとりして動作するかどうかは心許ない。そこで,フライト品の製作に入る前に試作機同士を探査機上と同じ形でつなぎ,金星での運用を模擬して動作させて,設計のバグを洗い出すのである。試験には研究所や大学の機器担当者のほか,実際に機器を製作しているメーカーの皆さんが勢揃いして,試験室は大賑わいとなった。

試作機とはいえ,フライト品と同等の機器がプログラミングどおりに実際の運用さながらに動作する様子には,まるで自分たちが金星周回軌道にいるような錯覚を覚えた。ただし,試験ではトラブルが続出し,何度も機器の動作が異常終了したりデータに異常が見られたりした。金星に行ってから異常が発覚しても,もはや我々が手を入れることはできない。トラブルを起こすなら,そしてそれを修正するならば今のうちである。

これからも様々な試験が控えており,一刻も立ち止まる猶予はない。いまの明けの明星が宵の明星になり,明けの明星になり,もう一度宵の明星になったら打ち上げである。打ち上げは待ってくれない,とチーム全体が改めて気を引き締めたのである。 (JAXA今村剛,佐藤毅彦)

2007年3月30日

金星探査機イラスト

トップページを飾る3枚の絵 (*現在はダウンロード>イラストにて大きな画像を見ることができます) は宇宙イラストレーター池下章裕氏にミッションを図解していただいたものです。これらの絵では現時点での科学的な正確さが可能なかぎり意識されています。これまで想像をふくらませていた探査の現場が改めてリアルな絵で表現されると、プロジェクトメンバーとしてもミッションの目標と魅力を再認識する思いです。願わくば、ミッション終了後にこれらをがらりと改訂したくなるくらい、多くの新しい発見がもたらされんことを。

ちなみに、探査機の横っ腹についている白い皿のようなものは地球と通信を行うためのアンテナです。 (JAXA今村剛)

2007年2月8日

太陽系探査ロードマップ検討

JAXA月惑星探査チーム、太陽系探査ロードマップ検討小委員会が活動を開始しています。この小委員会は宇宙科学研究本部の宇宙理学委員会との密接な連携の元に太陽系探査科学と探査技術の調和のとれたロードマップを描こうとしています。

この委員会のホームページで議事録、資料(一部開示制限あり)をご覧になることが出来ます。

(中村正人 太陽系探査ロードマップ検討小委員会幹事)