水星探査計画ベピコロンボ
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Last updated on 23 June 2014
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 BepiColombo(ベピコロンボ)計画
これまで水星に到達した探査機は、1974-75年に3回のフライバイを行った「Mariner10」と、2011年に水星周回軌道に投入された「MESSENGER」の2機のみである。前者「Mariner10」の探査軌道を提案したのが、イタリアの天体力学者Guiseppe(Bepi) Colombo氏(1920-1984)である。 彼は水星の自転周期(58日)と公転周期(88日)が正確に2:3の関係にある理由を解明したことでも知られる。

彼にちなんで名づけられた「BepiColombo計画」は、2つの周回探査機で水星の磁場・磁気圏・内部・表層の総合解明を目指す、日欧協力の大型ミッションである。
  • 水星表面探査機(MPO: Mercury Planetary Orbiter)
    ESA担当の3軸制御衛星。水星の表面地形、鉱物・化学組成、重力場の精密計測を目的とする。
  • 水星磁気圏探査機(MMO: Mercury Magnetospheric Orbiter)
    JAXA担当のスピン衛星。水星の固有磁場、磁気圏、大気、大規模地形の観測を目的とする。
 水星への旅
両探査機は、 電気推進モジュール(SEPM = Solar Electric Propulsion Module ESA担当)、 化学推進モジュール(CPM = Chemical Propulsion Module:ESA担当)と 一体に結合されて、 「アリアン5型」ロケットで打ち上げられ、水星まで一緒に旅をする。

全体モジュールは、「ゆっくり・着実」をモットーとするSEPMによる「電気推進」によって惑星間空間を飛翔し、 月・金星・水星スイングバイを経て水星に到達する。 ここでSEPMは分離され、CPMによる「化学推進」によって一気に減速してMMOの予定周回軌道に入る。

MMOは、この時点で全体モジュールから分離され、独立運用が開始される。 MPOは、CPMをもう一度噴射して軌道を下げた後、切り離される。 両探査機は、1地球年(4水星年)の観測を予定している。

打ち上げ時期は、2016年の夏を目標としている [2014年4月時点の予定]。
 水星:技術的挑戦
水星周回探査を実現するには、いくつかの技術的困難を解決しなくてはならない。 特に難しいものは、以下の二つである。
  • 水星は、地球と公転速度が大きく異なる上に質量が小さいため、 大きな探査機を周回軌道へ入れるには高い推力が必要である。
  • 水星での太陽光の強さは、最大で地球より一桁大きい。 また水星の表面温度は最高700K(鉛も溶ける!)にも達するため、 そこからの熱放射も大きい。このため、過去に例のない熱対策が必須である。
近年の技術発展により、これらの問題は克服されつつある。 前者は、電気推進システム小惑星探査機HAYABUSAでも使用している) によって解決された。 後者も、探査機側面を「鏡張り」するなどで解決を図っている。

打ち上げの成功は言うまでもないが、それ後にも、 数年に及ぶ巡航、何度も繰り返すフライバイ、精密な速度制御、地球近傍と異なる環境、 超遠距離通信、といった厳しい関門を突破しなければ、水星にたどり着くことはできない。
現在、日本側の 磁気圏探査衛星GEOTAIL / 火星探査機NOZOMI / 小惑星探査機HAYABUSA、 ESA側の 磁気圏探査衛星Cluster / 火星探査機Mars Express / 彗星探査機Rosetta といった過去の開発経験を持ち寄り、 詳細設計が終了する数年後を目標に、必要な試験・技術開発を進めつつある。 
 競争と協力:米国メッセンジャー計画
他の水星探査計画として、米国 NASADiscoveryプログラム (*1) の一つとして採択された 「MESSENGER計画」 がある。「数十年ぶりの水星探査」において日欧に先駆けるべく2004年に打ち上げられたMESSENGERは、 金星・水星をフライバイした後に2011年3月に水星に到着し、現在は水星周回軌道上で観測を実施している。

このミッションは水星表層の観測に主眼を置いているが、 軌道が北半球に偏り、かつ観測装置・探査機姿勢に制約がある。 そのため、磁気圏や内部構造の探査は難しいが、 全球表面の地形・組成を初めて明らかにするとともに、 北半球高緯度の詳細観測を実施する予定である。
MESSENGERの「発見」はBepiColomboにとって新たな観測ターゲットの出現を意味する。 競争しつつ共同研究を進めていく予定である。

[*1 「小型・低コスト・多数」を旗印にしたNASAの小型衛星計画群。
(とは言っても、旧宇宙研・現ISAS/JAXAの科学衛星・探査機より大型・高額なのですが。。。。)]
 BepiColombo計画:探査機仕様



[Credit: ESA]
[Credit: JAXA]
開発/担当 欧州宇宙機構 [European Space Agency (ESA)]
- 開発: ESTEC [European Space Research & Technology Center]
- 運用: ESOC [European Space Operation Center]
宇宙航空研究開発機構(JAXA) / 宇宙科学研究所(ISAS)
目的 表面地形・組成・内部構造・磁場の解明 磁場・磁気圏・大気・惑星間空間の解明
重量 全重量:約1140kg、観測装置:約80kg
全重量:約280kg、観測装置:約40kg






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軌道
MPO探査機: 高度400km× 1500km、軌道傾斜角90°の極軌道
MMO探査機: 高度400km×12000km、軌道傾斜角90°の極軌道
(予定)
宇宙航空研究開発機構(JAXA) 宇宙科学研究所(ISAS) 欧州宇宙機関(ESA) BepiColombo水星プロジェクト(ESA)
 BepiColombo(ベピコロンボ)水星探査計画は、水星磁気圏探査機(MMO)と水星表面探査機(MPO)の2機の探査機によって水星を総合的に調べる宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所と欧州宇宙機関との日欧国際共同プロジェクトです。
 [水星探査研究室] 宇宙航空研究開発機構 (JAXA)>> 宇宙科学研究所(ISAS)>>[太陽系科学研究系, ISAS/JAXA]
E-mail: mercuryweb@stp.isas.jaxa.jp    FAX: 042-759-8456