金星探査の歴史

マリナー2・5・10号

    打上げ国: アメリカ

    打上げ年: 1962〜1973年




マリナー2号

マリナー2号は世界で初めて成功した惑星ミッションです。1962年に金星まで3万kmあまりまで接近し、金星から放射されるマイクロ波を観測して、金星表面が非常に高温であることを明らかにしました。マリナー5号は1967年に金星まで4000 kmの距離まで近づき、上層の雲が冷たいことなどを明らかにしました。マリナー10号は水星に向かう途中で金星に立ち寄り、4000 kmの距離まで近づいて、紫外線で連続的に写真を撮って金星大気の高速循環(スーパー・ローテーション)を見出し、また磁場が非常に弱いことを明らかにしました。

ベネラ1〜16号

    打上げ国: 旧ソビエト連邦

    打上げ年: 1961〜1983年




ベネラ8号

ベネラは旧ソ連が金星に送った探査機のシリーズの名前です。科学観測に成功したのは1969年のベネラ4号からです。この探査によって初めて金星大気に着陸機(プローブ)が降ろされ、大気成分、気温、気圧が直接計測されましたが、着陸する前に故障しました。ベネラ7号は世界で初めて惑星表面に無事着陸したミッションです。ベネラ8号は大気中を降下中に風速を直接測定し、また金星表面が地球の曇天ほどの明るさであることなどを見出しました。ベネラ9号以降は着陸機が表面のモノクロ写真を撮影しました。ベネラ12号は雷が起源と思われる電波をとらえました。ベネラ13・14号は初めて地表面のカラー写真を撮影し、また地表の岩石が玄武岩質であるらしいことを明らかにしました。ベネラ15・16号は金星のまわりを回る周回機(オービター)で、レーダーで雲の下の地形を調べました。

パイオニア・ビーナス

    打上げ国: アメリカ

    打上げ年: 1978年




金星大気に突入するプローブの想像図

周回機と着陸機からなる大型ミッションです。周回機は紫外線で雲を撮影したり、金星周辺に広がる電離大気や磁場を調べたり、レーダーで雲の下の地形を調べたりしました。着陸機は合わせて4つで、金星のあちこちに突入し、降下しながら大気の温度や風や組成を調べました。周回機は1992年まで機能して、長期にわたって貴重なデータをもたらしました。

ベガ1・2号

    打上げ国: 旧ソビエト連邦・フランス

    打上げ年: 1984年




金星とハレー彗星の両方の探査を目的として2機の探査機が打ち上げられ、金星に近づいた際にそれぞれが気球と着陸機を大気中に降ろしました。気球は金星の雲の高度(50〜55 km)をそれぞれ2地球日程度浮遊して、1万1600kmを旅し、風・気温・気圧・雷などを調べました。着陸機はは金星の大気組成や地表の岩石を調べました。

マゼラン

    打上げ国: アメリカ

    打上げ年: 1989年




マゼランはスペースシャトルで打ち上げられた初の惑星探査機です。金星のまわりを回りながらレーダーで地形を調べ、これまでで最も詳しい金星表面の地形図を作りました。

ガリレオ

    打ち上げ国: アメリカ

    打上げ年: 1989年




木星探査のための衛星ですが、金星の重力で加速して遠い木星まで到達するために、金星に立ち寄りました。金星の近くを通りすぎる際に、金星の雲を撮影したり、金星大気中の雷が起源と思われる電波を観測したりしました。

本ページの作成にはC.J. Hamilton氏のViews of the solar systemなどを参考にしました。

前のページ 「探査検討グループ」