Venus Express

 ―ヨーロッパの金星探査計画―

Venus Expressホームページ(英語)

Venus Expressはヨーロッパ宇宙機関が推進する金星探査計画です。2005年11月に衛星の打上げられ、2006年4月に金星周回軌道(極軌道)に投入されました。現在、金星周回軌道上から、リモートセンシングによって主に大気組成の観測や、金星周辺に広がる電離大気も調査しています。既に打ち上げられた火星探査機Mars Expressの設計をベースにすることによってコスト削減や開発期間の短縮を狙ったため、搭載観測機器(以下)もMars Expressと共通のものが多くなっています。

・ 高波長分解能赤外フーリエ分光計(PFS)
・ 可視-赤外分光撮像装置(VIRTIS)
・ 直下視/掩蔽観測用紫外-赤外分光計(SPICAV)
・ 紫外/可視カメラ(VMC)
・ プラズマ/高速中性粒子分析器(ASPERA-4)
・ 磁力計(MAG)
・ 電波科学観測(VeRa)

Venus Expressに搭載されているPFS、VIRTIS、SPICAVは、金星大気から発せられる光の色(スペクトル)を高い識別能力(分光分解能)で調べ、大気中に含まれる様々な化学物質の分布を明らかにします。そのようなデータからは、硫酸の雲を作り出す化学反応や、大気と地表面の間で起こっている化学反応がわかります。

日本のPLANET-Cが気象力学の研究に重点を置いているのに対して、ヨーロッパのVenus Expressはこのように大気化学の研究に重点を置いています。これらは互いに補い合う関係にあるため、PLANET-CとVenus Expressのプロジェクトチームは、双方のミッションの企画段階から緊密な協力関係を築き、相乗効果でより大きな成果が得られるように協議を重ねてきています。データの相互受信や、データの解析における共同作業も検討されています。金星の科学の発展のために、日本とヨーロッパの兄弟のような2つのミッションを、是非とも共に成功に導きたいと思います。

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